骨粗しょう症
骨粗しょう症とは、どんな病気?
骨の強度が低下して、骨折しやすくなる骨の病気を「骨粗しょう症」といいます。骨粗しょう症により骨が弱くなると、転倒、尻もちをつくなど、ちょっとしたはずみで骨折を起こしやすくなります。骨折を起こしやすい場所は、背中・腰、太ももの付け根、手首などです。特に背中・腰の骨がつぶれる骨折(圧迫骨折)をしてしまった場合、背中や腰が痛くなったり、背中が丸くなったり、身長が縮んだりします。骨折が、寝たきりの原因になることもあります。
わたしたちの骨の量は、成長に伴ってどんどん増えていき、20歳前後でピークを迎えます。その後、年齢を重ねるにしたがって骨の量は減少しやすくなるのですが、減少の程度は人それぞれです。骨粗しょう症は痛みなどの自覚症状がないことが多く、定期的に骨密度検査を受けるなど、日ごろから細やかなチェックが必要です。
骨粗しょう症と健康寿命の関係
高齢化が急速に進む中で、単に長寿を目指すだけでなく、一人ひとりの生活の質を維持し、健康で自立した生活を送れる期間をあらわす「健康寿命」を伸ばすことへの関心が高まっています。平均寿命と健康寿命の差は男性で9年、女性では12年もの差があり、実際には多くの人が健康ではない状態で過ごしているのです。骨は私たちの体や日常の活動を支える大切な器官です。骨粗しょう症を予防し、骨を健康に保つことは、健康寿命を延ばすことにもつながるのです。
骨粗しょう症になりやすい方は?
骨粗しょう症は特に女性に多い病気で、患者さんの80%以上が女性といわれています。閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下しますと、急激に骨密度が減り、同年代の男性に比べて早く骨密度が低くなります。また加齢によって腸管でのカルシウムの吸収が悪くなったり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きが弱くなるなどの理由があります。
特定の病気や、服用している薬が原因となって発症する骨粗しょう症もあります。原因となる代表的な病気としては、副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、関節リウマチのほか、糖尿病をはじめとする生活習慣病で頻度が高いとされています。
その他、喫煙や過度な飲酒の習慣がある人は骨粗しょう症のリスクが高くなります。避けられない加齢や閉経と異なり、これらの要因はご自身の意思で改善することができます。骨粗しょう症予防のために、今からできることをはじめましょう。
骨粗しょう症の検査方法は?
レントゲン検査
背骨(胸椎・腰椎)のX線写真を撮影して骨折の有無を確認します。圧迫骨折は痛みがないこともある為、背骨のX線検査は重要です。
骨密度測定検査(DXA法)
「骨密度」は、骨の強さを判定するための代表的な指標です。骨密度検査では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定します。骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表されます。当院では、2種類のエネルギーのX線を使い透過率の差を利用して骨密度を測定するDXA法という方法で検査をしています
■特徴
- 極めて少ないX線を利用しているので“安心”です。
- 撮影台に横になったまま検査できるので“痛みなく”簡単です。
- 検査時間も2分程度なので“スピーディ”です。
- 検査データの保存が可能なので定期的検査で“正確な診断”が可能です。
■検査結果サンプル
骨代謝マーカーの測定
骨代謝マーカーは、破骨細胞や骨芽細胞による「骨の新陳代謝」の状態を知るための指標で、血液検査や尿検査により測定します。骨がどれだけ壊されているかを示す「骨吸収マーカー」と、骨がどれだけつくられているかを示す「骨形成マーカー」があります。骨代謝マーカーを測定することで、お薬の効果を判断する材料にもなります。
骨粗しょう症の治療
骨粗しょう症治療の目的は、骨密度の低下を抑え、骨折を防ぐことにあります。治療の中心は薬物治療になりますが、骨粗しょう症の発病には、食事や運動などの長年の習慣も深く関わっています。そのため、薬物治療とともに食事療法や運動療法も並行して行い、骨強度を高めていくことが重要です。
- 食事療法
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カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを多く含む食品、タンパク質を摂取しましょう。
- 運動療法
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ウォーキング、ジョギング等、ご自身の身体に合わせて無理なく続ける事が大切です。開始する前に医師にご相談ください。
- 薬物療法
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さまざまな種類の薬剤があり、飲み薬や注射薬があります。骨密度の程度や骨折の危険性などを考慮して、お薬を選択します。